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トラックジャーナリスト中尾真二の「トラック解体新車」
メカニックも世界的な人手不足...UDトラックスのGEMBA CHALLENGEの新しいプロジェクト
2018年11月21日 イベント
UDトラックスは、世界中のディーラーメカニックチームが現場での技術力を競う「GEMBA CHALLENGE」を2年ごとに開催している。
2018年11月6日、埼玉県の上尾本社にて、3回目となるGEMBA CHALLENGEが開催された。
●コンテストではクエスターの整備も行う
今年は7か国から12チームが参加し、エンジン整備やサスペンションやトランスミッションのトラブルシューティング、さらに電装系の配線図を読み解く問題やフロントで提示された運行状況から消耗品の最適交換スケジュールを組み立てる問題などの課題に取り組んだ。
コンテストで実際に整備する車両は、クオンとクエスター。
国によっては販売していない車種となるが、参加者は、普段使っている業務システムを駆使して、当該車両のサービスマニュアルを入手し、スキャナーやテスターを使って整備する。
【写真は、GH11のエンジン組付け(タイミングギアまわり)を行うステーション】部品交換のスケジュールは、フロントのコンピュータが計算してくれるが、コンテストでは、あえてコンピュータを使わず電卓で計算する。
計算根拠を把握していないと、同じ車種でも走行条件でスケジュールが変わってくる理由を説明できないからだ。
なお、今年のGEMBA CHALLENGE、決勝戦の結果は以下のとおりだ。
1位: Swire Synergy(スワイヤ・シナジー)チーム:香港
2位: BBTruck Polokwane(BBトラック・ポロクワネ)チーム:南アフリカ
3位: Hyakumangoku(ヒャクマンゴク)チーム:日本
【写真は1位になった香港チーム。手応えは?との質問には「自信あり」と答えていたが、その言葉どおりに優勝】●GEMBA CHALLENGEの特徴
類似のメカニックコンテストは、他のメーカーも実施しているが、UDトラックスのGEMBA CHALLENGEは、全社が一丸となって開催している点、グローバルなコンテストである点、そして機械整備だけでなく電装品の知識やフロント業務にかかわる知識、スキルも問われる点に特徴がある。
通常、国が変わると、車両モデルのラインナップが異なり、整備や車検に関する法律も異なる。
国ごと、リージョンごとのコンテストはあっても、日本、中国、ASEAN、中東、アフリカといった広範囲なコンテストは珍しい。
コンテストの挨拶に立った、マーティン・ジェレサンド氏(UDトラックス ジャパンセールス アップタイム&リテール バイスプレジデント=写真)によれば、メカニック不足は世界的な問題だという。
世界中のユーザーにとって、トラックの稼働率、整備時間の短縮は大きな経営課題にもなっている。
とくに日本は、オートアフターマーケットと呼ばれる、整備、メンテナンス市場の比率がグローバルに比較して高いので、メーカーとしても重要課題として取り組んでいる。
●人材育成へのあたらしい取り組み
メカニック人材問題について、今回のGEMBA CHALLENGEでは、新しい取り組みも行われた。
各国ファイナリストが優勝をめざして競技を行う傍ら、2019年度のUDトラックス入社内定者のうち日産自動車大学校の学生10チーム31名がトレーニングセンターで実施する「ジュニア現場チャレンジ」に参加するというもの。
競技内容は、マイクロメーターやダイヤルゲージでライナー内径、ピストン外径の測定、エアコンの熱交換サイクルをパネルで完成させる問題、与えられたリレーとスイッチを使って自己保持回路を組み立てる課題の3つだ。
UDトラックスでは、メカニックの育成にも力をいれており、留学生の採用も広げたいとしている。人事担当者の話では、海外のメカニックがいると、言葉が伝わるように丁寧になり、むしろコミュニケーションがよくなる現場もあるそうだ。
また、ボルボグループでもあるUDトラックス本社では英語のコミュニケーションも求められることがある。
このようなグローバル企業で働くことで、メカニックとしてもキャリアの幅が広がる可能性がある。
GEMBA CHALLENGEのようなイベントで、他国の車両の整備やサービスマニュアルを読む経験があれば、海外メーカーやディーラーへの門戸も開かれるはずだ。
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プロフィール
中尾 真二
IT系技術書の企画・編集を経て2003年にフリーランスとして独立。
自動車関係では、パワートレーン、サスペンション、タイヤ、用品・部品関連技術の記事を中心に、主にウェブ媒体向けの取材・執筆活動を行っている。
専門は、ADAS、自動運転、AI、クラウドサービス、セキュリティなど、IT関連のバックグラウンドを生かした記事。 -
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