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配車女子 とら子の「一配一会」
飲酒SNS投稿と運送業について
2023年10月22日 とら子独り言
お久しぶりの更新です。
私は個人的なSNS投稿で特定のドライバーさんが投稿する飲酒について言及しないようにしていました。
ですがこのところ少し思うことがあったので思いを書かせていただこうと思った次第です。
去年あたりからSNSでトラックドライバーの飲酒投稿がバズっていますね。
異業種の方やインフルエンサーたちにも非常に友好的に受け入れられることになったようで一躍有名なアカウントになられました。
トラックドライバーなのに女性だし若い。そんな可愛い子がこんなにたくさんお酒を飲めるなんてギャップがすごい!
ということでしょうか。
このギャップはSNS上では非常に頼もしい武器になり得ます。
上手にギャップを利用してSNS運営としては大成功されたと思っています。
ビジネスにおいて勝つことはとても重要です。
SNS運営をビジネスとして生計を立てる戦略としては非常に有効的ですし一人勝ちです。すごいの一言です。
SNSから派生してさまざまな活動もできるようになるのが現代ですから勝ちパターンを今後もSNS運営をビジネスとして見つけていかれるのが今後の展開としても彼女にとってプラスになると思います。
それは、戦う場が「SNS」であればの話です。
ですが、戦う場が「運送業」になった場合、そのギャップは魅力になり得るでしょうか。
私の答えは「ならない」です。
ギャップの武器が「酒」であれば尚更です。
私が日々戦っている運送業の現場でSNSでバズったことなんてちっとも武器になりません。
私たちが日々働く現場で最も武器になるものは何かこれを読まれている方はわかりますか?
運送業で一番の武器は「信頼」です。
安心、安全、丁寧な仕事から生まれる「信頼」以外ありません。
私たち運送業は「我々だけでは金を産まない仲介業」です。
お客様からお客様への荷物をお客様に代わってお届けする、という仲介業です。
トラックでお金を生み出すためにはお仕事を頂戴しなければならない、そんな仕事です。
そんな仕事の1番の武器である「信頼」を勝ち取るために必要なことは約束を守ることです。
信頼というのはお客様だけではなく、道路を走る他のドライバー、歩行者に対してもです。
トラックが一番滞在するのが道路上だからです。つまり、周りのドライバーや歩行者への信頼は事故を起こさないという約束を守っていくことになります。
約束を守るということは相手への信頼構築が一番大切になります。
信頼関係を築くために何が必要なのか。
私たちが聖人になることですか?
違いますよね。
私たちがお客様に常に安心してトラックを走らせることができますよ、という絶対的な、というか確信を持った安全運転対策と依頼された仕事に対応する手配力が必要です。
「酒」は安全運転対策へのリスクにしかならないものです。
つまり、ドライバーという立場で酒の投稿をする、ということはお客様への信頼関係を崩すことの一役を担っている行為でしかないのです。
会社が苦労して勝ち取ってきた大切なお仕事を「君の会社のドライバーは毎日酒飲んでる投稿を上げているけどそんなドライバーに荷物を任せるのは不安でしかない」と断られた場合、会社のメンバーとしてどこまで責任を取れますか?
という話になってくるのです。
経営者の立場であればお好きにどうぞ、というわけにもいきません。
運送業がここまで国内で浸透して「なくてはならない」産業になっているのに会社の経営者が「好き勝手させろ」は業界への冒涜になるからです。
運送業に対しての責任がない、とみなされてしまいます。
まぁ、そんなことを言う経営者さんはいないと思っていますが。
プライベートなことに口を出すな、という意見もきっとたくさんあるでしょう。
ですが、運送業のメインである「トラックドライバー」を堂々と名乗りながらもこの業界へのマイナスイメージを植え付ける行為を発信していい訳でもありません。
運送業が大好きな人間にとってそれはこの業界へのリスペクトを軽んじられているからです。
飲酒投稿はぜひSNS戦略としてやっていただいていいと思っています。
ですが、運送業であるということを表に出す必要もないです。
そして、私が一番言いたいこと。
SNS上で彼女について様々な議論が交わされているけれど、それをもうやめませんか、ということ。
議論で終わるうちはいい。
でもそれが相手への誹謗中傷になるのは同じ業界で働く身として見ていられません。
同じように運送業が、トラックが好きで働く人たちなのに同じ運送業の仲間に対して攻撃的になる必要なんて全くないと思っています。
業界に長くいるベテランさんから新しくこの業界に興味を持ってくれて頑張る人たち。
それぞれが運送業が好きで頑張る人たちで、自分たちの現場ではものすごく頼りになる人たちなはずです。
その現場で自身のSNSがバズったからといって仕事が左右されるわけでない。
自分の能力と才能だけでやりこなしている現場です。SNSとは全く関係のない場所で頼りになっているし一目置かれているのです。
現場で会えばきっと違った交流があって尊敬できる部分がたくさんできるはずなのに会ったこともない人のために大切な時間と労力を使って相手に嫌悪感を抱く必要はないと思っています。
私たちは運送業です。
過去多くの素晴らしいドライバー、配車マン、経営者から紡がれてきた日本の産業の軸です。
過去の長い歴史で培ってきたその軸を自分たちで壊すことを容認するのはもうやめませんか。
私たちは運送業です。
忍耐強く、厳しい時も耐え抜き、今までやってきた産業です。
ここで働くことを私は誇りに思っていますしこの業界で働く人たちのかっこよさにずっと憧れています。
そんな憧れの存在たちが誰かを罵倒したり攻撃するところは見たくありません。
仕事とプライベートを切り離しにくい職種でもある運送業。
なかなか分けて考えられない時があるかもしれない。
だからこそ、自分たちの働く業界にマイナスなことはしなくてもいいと思っています。
尊敬すべき憧れであるみなさんが今日も安全に笑顔でお家に帰れるように日々祈っております。
そして、来たる2024年に向けて一枚岩にならなければならない今、もっと議論すべきことはあります。
昔のように臭いものに蓋をしないためにも今後は議論の場を違う場所に移して行ければいいと思います。
それでは今日もご安全に。
気をつけていってらっしゃい。
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プロフィール
とら子
トラック運転できないAT限定免許配車マン。
トラックは街の風景だと思って過ごしてきた学生時代。 けど今はドライバーさんのおかげでご飯食べれています。
配車はドライバーさんと荷主の緩衝材。 目の前の利益より損して得取れ精神で配車係やらせてもらってます。 -
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コメント
とら子さんありがとう。
こちらこそ読んでいただきありがとうございます!
俺は肯定派ですわ。仕事終わってから酒飲むのは自由。翌日の飲酒検査にひっかからなければそれで良し。だと思ってます。
運送業だからって飲まない人はいないですもんね。
私生活では好きなことやものに楽しんでもらいたいです!!
信頼はどの仕事も業界であっても必要なことで、それを得るには長くことかかるし失うのは一瞬ですからね、SNSで話題になっている人も私も最初見たとき驚きました、暫くしてほんとはそれほど呑んでいないと聞いたのですが私はあの表示を見るのが飽きたというのが本音です、貴女が言うように運送業なんだからもうやめてと思うようになりました、マスコミにも取り上げらたりしてときの人になったのは何のためなのかな?
運送業は仲介業、たしかにそうですね気がつきました、大事な仕事ですね。
いつもお読みくださりありがとうございます。
彼女がどう、ということはなくて運送業で働く一人としてやっぱりほかのドライバーさんたちが彼女のことで攻撃的なことを同じ業界の仲間に言うのを見るのがものすごく悲しいので今回は気持ちを書かせていただきました。
運送業は仲介業。
これを肝に銘じて今日もお仕事頑張ります!
自分はネタだと思って楽しく拝見していますが、自分は翌日乗務がある時は飲もうと思わないですね。配車やって運行管理者の立場のときは日常的に飲酒するドライバーに振り回されました。時間で上手くコントロールできる方はいいですが、自分は経験上全く信用していません。
わかります・・・w
私たちもアルコールチェックで引っかかるドライバーさんには本当に苦労させられました。。
今はもう検知される、ということはありませんが振り回されますもんね。
私生活のコントロールは個人で、という絶対的な前提はありつつも絶対ダメなことを会社も容認できませんしご苦労されたこと、本当にお察しします。。
いちいちSNSに載せる意味がないよね。
あの伊藤さんとかいうオッサンも痛いよね。
読ませていただきました。
考えが違いました。
私も長く勤めているドライバーです。
昨今今まで自由だった事がなくなって我慢する事が多くなりました。
ルールを守っていれば飲酒もSNSの投稿も良くないですか?
しかし飲酒より大きく被害も多数の事故原因は何で独り言にしないのでしょう?
ドライバーの責任を大きくする配車係によくある話題ですよ。
休憩取れないコース、寝不足なのにドライバーの責任にする。
トラックの飲酒事故の件数は全体の2%以下ですよ。
拝読しました。飲酒検知で中央圏から日本の端っこに飛ばされた超有名ドライバーさんも、結局のところアルコールから縁が切れないようです。一般車を見下ろす位置でハンドル握ってらっしゃるので飲酒=罪悪という感覚が湧きにくいかも…でも、事故れば人生全てが泡沫。ましてや他人を傷つけることにもつながります。気付いてほしいんですが…