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橋本愛喜にも言わせて
【第3回】トラックドライバーとSNS②~酒投稿~
2024年7月1日
画像:SAPAトラックエリアに捨てられていたストロング缶
こんにちは。ライターの橋本です。
3回目にして月1ペースが守れなくなっているというね…
6月は月末が土日だったからということで
笑って許してくださいごめんなさいごめんなさい頑張る…トラックドライバーの飲酒&投稿
さて、今回のテーマもSNS絡み。
Twitterでは口酸っぱく言ってきてること
かつ、
多くのドライバーにとっては耳の痛い話かもしれないが、このSNSのなかで非常に多いのが「飲酒投稿」です。
私がネットリテラシーのない
一部トラックドライバーが投稿する内容の中で
最も危惧しているものがこの酒投稿。もちろん前回紹介した、
立ちションとか「ながら運転」もあかんが、
この「酒」は、本人や会社、
そして業界や世間にも大きな影響を与えます。私が普段SNS分析をしている、
ということは話したかと思います。業務中に画像や動画を撮影し、
それをSNSにバシバシ上げているのは
業種数あれどトラックドライバーくらいです。しかも、プライバシーの配慮が必要なものを
そのまま無加工で上げる。私は当初、ドライバーが普段
どういう仕事をしているかを
世間に知ってもらうんであれば、
それが社会的地位を上げる手段になるかもと
静かにドライバーのSNS発信を静観してきましたが、
最近は非常に否定的です。社会的地位を上げるためのものが、
むしろダダ下がりする原因になっている。その筆頭が「飲酒投稿」だと思ってます。
「クルマと酒」の関係は昔から根深く、
CM業界ではかつて
「酒のCMの前後にクルマのCMを流さない」
などの配慮もあったとされています(諸説あり)。日本の酒造メーカーは、
テレビCMや新聞広告などにおいて、・25歳以上のタレントを起用しない
・イッキ飲みの表現はしない
・ゴクゴク音を入れない
・重大事故につながりやすい作業時の飲酒を誘発する表現はしない
・飲酒運転につながる表現
・喉元をアップしないなど、実に細かな自主規制を強いています。
https://www.rcaa.jp/standard/koukoku.html
(『酒類の広告審査委員会』より)複数のトラックメーカーの広報と仲良くしているが、
彼らは最近のドライバーによる酒投稿やドラマ制作に対して
「うちの製品は絶対に酒と関連付けない」と、
酒に緩い最近の運送業界の傾向に驚いています。以前、トラックのドラマのなかに
某大手アルコール飲料メーカーの商品が
そのまま使用されていることに
強い嫌悪感と拒否感を示す広報もいました
(ほんまそれがただただ当たり前)。先に紹介したテレビや新聞は
「オールドメディア」と言われています。
つまり、「昔からあった媒体」です。昔、影響力が最も強いという観点から
テレビや新聞で先のような
自主規制がなされましたが、
時流はインターネット。表現の自由は担保しながら、
世間に対する影響に鑑みながら
ネットやインフルエンサー、
SNSを運営するプラットフォームにも
今後より厳しく規制していく必要があると感じます。毎度繰り返しているが、
「ドライバ―は酒を飲むな」とは言っていません。
生活習慣からも仕事からも、飲まないに越したことはない。でも人間なので1日1缶くらいならいいと思う。
が、「1日1缶飲んでいる」のと、
「その酒を飲んでいるところを常習的に投稿する」のは
また別の意味をもつわけです。で、こう言うと
「自分はSNSで影響力がないから酒投稿しても関係ない」
といってくる人もいるんやが、それは大きな誤解です。全国にトラックドライバーは86万人います。
たとえあなたの影響が小さくとも、
同じように影響力の小さい人が86万いれば、
質より量を信頼する日本においては、
それはひとりにインフルエンサーよりも強力かつ正真正銘の
「日本のトラックドライバーの特徴」になる。「自分だけなら問題ない」
「法律を犯したわけではない」こうして何も考えずにひとりひとりが勝手気ままに投稿した結果、
「日本のドライバーは酒好きの職業」
となり、社会的地位も飲酒事故もなくならない。一丁前に「給料は上げろ」とかどの口が言ってんだ
と思うに相成るわけです。「唯一の趣味を奪う気か」さんたちへ
以前、こう言ってきた人がいます
「忙しいドライバーにとって、酒は唯一の趣味。
オマエはそんなものまで奪う気か」
300万回くらい言ったつもりでいる
&すでに今回でも繰り返しているが、
私は「酒を飲むな」とは言っていません。そして、
「酒しか趣味がもてない」ことを、
運送業の過酷な労働環境のせいにするなとも強く思います。そもそも、「飲酒」を
「趣味」というカテゴリーにしているんやな
と絶望的な気持ちになりました。私自身、酒が嫌いじゃありませんが、
それ以外に楽しいと思えるものが私にはあります。「筋トレ」です。
まあ、減量目的で始めたものの、
体が変わる面白さ、
そして何より筋トレする人にやたらポジティブな人が多く
最近はストレス発散のために体をいじめています(筋トレによって幸せホルモンが出ることも証明されてます)。
「ストレス発散のために体をいじめている」でいえば、
飲酒とやってることは同じですが、
その先で待っているものが違う。飲酒という趣味の先には不健康しかないですが、
筋トレにはその逆の「健康」が残る。ドライバ―のなかには筋トレガチ勢も結構いますよね。
彼らの多くは、酒を飲まないか、飲まなくなった人が多い。
少なくとも、飲酒をポジティブに考えている人はいません。それは、酒には筋肉を分解してしまう成分が入っているから。
一度ハマると、酒なんかもったいなくて飲めなくなります。もちろん、筋トレをしろと勧めているわけではありません。
酒に固執するのではなく、
その狭い視野を広げて、「趣味」とするものを変えれば
別の方法でストレス発散なんかいくらでもできる。依存するものを変えればいい。
酒を唯一の趣味だとする人は、視野を広げてみてください。…まあね、、毎度皮肉なのが
こういう話をしっかり聞いてくれる人は
決まって「共感してくれる人」ばかり。
一番聞かなあかん人らは読みもしないというね。結果的に現状は、現場の経営者が、
「よい子はそんなことしてはいけませんよ」
と教育する必要がある。もはや幼稚園の園長先生みたいですが、
現状悲しいことにこの業界にはそのレベルの人がたくさんおり、
しかも自分自身こそ「この業界のドン」
みたいな態度でいるのでもう救いようがないんやが、彼らが病気や事故をして初めて気付くようなことには
したくないな、と私は今後もこの飲酒とSNSの関係を
口うるさく言っていこうと思います。
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プロフィール
橋本愛喜
フリーライター。
元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許を取得後、トラックで二百社以上のモノづくりの現場を訪問。
ブルーカラーの労働問題、災害対策、文化差異、ジェンダー、差別などに関する社会問題を中心に執筆中。
各メディア出演や全国での講演活動も行う。 -
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