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橋本愛喜にも言わせて
【第2回】トラックドライバーとSNS①
2024年5月31日
こんにちは。
フリーライターの橋本愛喜です。先月の記事公開がギリギリセーフだったので、
「来月はもっと早い時期に記事アップします」
と運営側さんにも大宣言していたんやが、
ええ案の定、ギリギリになるという人です。ここら辺の安定感は抜群ですハイ
さて2回目ということで
今回からしっかりドライバーについて書いていきたいと思うんですが、突然やが今回の記事、
結論から先に言うと、
トラックドライバーのSNS利用は
自身の社会的地位が上がらない大きな要因になっているということを言いたい。
もっとクリアに言うと、
ドライバーのSNSの使い方が包括的に改善されなければ、
ドライバ―は今の社会的地位から上がることは決してないと断言できます。
詳しく話していこうと思います。
ひょんなことから
トラックドライバーたちの労働環境について書き始めて以降、
社会系ライターだった自分に「トラック」の色がついてはいけない
と思い(時すでに遅しやが)、
トラックとは一線を画して
自分の専門分野をカタチにしようと、
SNSを軸に「世間の声」
を分析しはじめたのが5年ほど前のこと。が、、、
こうしてトラック関連の仕事と切り離して
SNSを分析すればするほど、
結果的にまたトラックの世界に引き戻されることに。その理由は、
トラックドライバーほど業務中に
SNSへ動画や画像をあげている業種がいなかったから。見たことあります?
学校の数学の先生が「これから授業行ってきます」
とか、
お医者さんが「今から心臓のオペやってきます」
とか言いながら
自撮りしたり教室やオペ室の画像SNSに上げるところ…トラックと同じブルーカラーの建設業界でさえも、
現場で画像アップする作業員はごく稀。その理由は、
やはり大前提として、
トラックドライバーは「自由」
なんだと思います。その自由があるからこそ
トラックドライバーになったという人も多いと思う。ちなみに、最近この自由を脅かす
「会社による車内カメラ取り付けの是非」
に関しても近々書いていきたいと思っているが、今回はさておき(改めてまた書きます)、
いずれにしても現状は他の仕事よりも
「監視の目」や「行動」における自由度は
他業種に比べて非常に高いのが現状です。そこで問題になるのが
「ドライバーのネットリテラシー」です。よく「リテラシーって何ですか」
と言われることがあるんですが、
簡単に言うと
「インターネットを適切に使いこなす能力」
のことを言います。トラックドライバーは、
このネットリテラシーがマジで足りないとめちゃくちゃ感じる。これまでに世間では
「バイトテロ」や、飲食店における「迷惑行為」
などが取沙汰されるので、
よく若者のほうがネットリテラシーがないと思われますが、実は当該研究文献では
炎上ツイートに加担する多くが中年男性
というデータがほとんどです。デジタルネイティブ(生まれた時からインターネットがある状態)
である若者とは違い、
中年以降は大人になって
リテラシーを学ぶ機会がなかった人が多いんですね。それに加え、社会人としてストレスを抱えている最中、
突然匿名の言論空間を手にしたことから、
自分の思想や思いを脳内でろ過せず
そのまま垂れ流してしまうケースが頻発するんです。私が去年、
Twitter上に誹謗中傷を垂れ流すアカウント
2000件を分析したところ、
7割以上のアカ主が男性、
または男性と思われる、という結果が出ました。運送業界には、その中年男性が著しく多い。
そのうえ、もう1つドライバーのリテラシーが低くなる要因があります。
トラックドライバーという職業は、
元々人間関係のしがらみが苦手な人に好まれる業種のため、
結果的に「自分の意見と誰かの意見を比較する」機会が少ないんです。つまるところ、率直に言えば「視野の狭い人」が多い。
決して全員が視野が狭いわけではないですし、
トラックドライバーだけの傾向ではありませんが、
この業界を長く深く取材してきた身としては、
こうした傾向が強いとよく思います。そうなってしまうと、
自分の属性と異なる人やモノに対して
極端なアレルギー反応が起きる。それがゆえに、SNSに直感的に思ったこと、
今目の前で起きたことをそのまま垂れ流してしまう
ドライバーが少なくないんだろうなと思うところ。さらに、ドライバーの多くがもっている「ある特性」が
SNSへの投稿によって「いらん結果」」もたらすことがあります。それが「正義感」です。
トラックドライバーたちが投稿する画像・動画投稿で顕著なのが
「ちょっと聞いてよこんなヤツおったど」系(勝手に命名)。つまり、
あおり運転や信号無視、
交通マナーがなっていない道路使用者にカメラを向け、
それをナンバーや顔を無修正のまま「こんなヤツらはクソだ死んだらいい」
などと投稿する。
※画像:Twitterより
元の投稿にはモザイクなしなかには
「煽り運転を目撃したから」と、スマホ片手に撮影。トンネル内で法定速度以上のスピードを出しながら
撮影していたドライバーもいました。投稿主は
「こんなヤツは晒してやる」
といったコメントも付けていましたが、
自分の小さな正義のために、
大きな不正義を犯していることに気付いていない。それは、トラックドライバーに必須の
「先を読む能力」の欠如でもあると私は思うんですね。こんな低い倫理観のなか
「トラックドライバーの社会的地位が低すぎる」
だの
「ドライバーの給料をもっと上げろ」
だのは、
もはや「どの口が言うてんねん」
以外の何ものでもない。自分の給料を上げるのは結局、
「会社」や「荷主」が上げるんではなく、
「自分自身」が上げていく必要があるという意識をもってほしいですまーた説教っぽくなっちまった…(それが仕事)
この「トラックドライバーとSNS」は
まだまだ書かないといけないことがあるので
折を見てまた言及したいと思います。ほいだらまた次回v
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プロフィール
橋本愛喜
フリーライター。
元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許を取得後、トラックで二百社以上のモノづくりの現場を訪問。
ブルーカラーの労働問題、災害対策、文化差異、ジェンダー、差別などに関する社会問題を中心に執筆中。
各メディア出演や全国での講演活動も行う。 -
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