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  • 2019年2月の最新投稿

    レベル4自動運転トラックはi-Constructionの技術を応用...UDトラックス

    2019年2月1日 試乗

     

    UDトラックスは昨年12月12日、上尾本社のテストコースでレベル4自動運転に対応する大型トラック「Fujin」を発表し、関係者や報道陣に向けて車両とデモンストレーション走行を披露した。

    ●UDクオンがレベル4自動運転に対応(プロトタイプ)

    UDトラックスがデモ走行を行ったのは、クオンCW(6×4)をベースにコンテナ用の平台を載せ、自動運転機能を搭載した車両。今回実現した自動運転レベルは4。限定領域や一定の条件下でドライバーの介入を必要としない走行を実現した。

    UDは、大型トラックのEV化と自動運転技術について、2018年4月に「Fuji & Raijin ビジョン2030」として発表している。Fujin(風神)は自動運転トラックであり、Raijin(雷神)がEVトラックだ。このときはコンセプトの発表がメインだったが、今回の発表は、Fujinのプロトタイプ(レベル4自動運転対応クオン)のお披露目と自動運転のデモ走行がメインとなった。

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    自動運転は、AIや機械が運転に介入できる度合いによってレベル分けされている。一般的なレベル分けは、アメリカのSEA(自動車技術会)が示した基準が一般的に用いられている。レベル0をまったく機械の介入がない車両とし、レベル5がどんな道路や状況でも自律走行が可能なレベル、つまり無人走行が可能な状態だ。レベル4はそのひとつ前の段階となる。なお、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)や自動パーキング、全車速域追従型クルーズコントロール、ステアリング介入のあるレーンキープシステムなどを搭載した車両はレベル2となる。


    ●GPSアンテナとLiDARセンサー以外はノーマルクオンと同じ

    トラックターミナルを想定した駐車ポイントがポールやパイロンによって作られたテストコースでデモ走行は行われた。そのコースで8の字走行、バックでプラットフォームにつける操作、数十メートルをまっすぐバックする操作、ポールで囲まれたスポットへのバックでの車庫入れ操作などを行う。安全のためドライバーは乗車しているが、デモ中は両手を挙げたまま。ペダル操作もしない。

    車両に施された装備で目がつくのは、フロントグリル中央に取り付けられたLiDARセンサーとキャブのルーフに取り付けられた大型のGPSアンテナ。それ以外は市販されているクオンと変わりはない。プロトタイプということでキャビンの中は公開されなかった。しかし、デモ車両には運転席の様子を写すカメラが設置されており、その映像からは運転席やパネル類、コンソールに大きな変更は確認できない。

    自動運転に必要な電動パワーステアリング、エンジンECU、電動ブレーキ、カメラ、各種センサーは市販車にも搭載されているので、車両そのものに大きな追加装備は必要ない。逆にいえば、レベル4自動運転を実現している鍵はGPSとLiDARということだ。

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    ●コースはGPSで把握、状況はLiDARで把握

    GPSはあえて大型のアンテナを搭載している。現状のカーナビはフィルムアンテナなどで十分な性能がだせるので、外付けのアンテナは本来必要ない。しかし、一般的に、レベル4、レベル5の自動運転には高精度はGPS(アンテナ)と高精度な3Dマップデータが必要とされる。

    LiDARは、電波を使うレーダーと違って、赤外線の投影範囲の物体の立体的な形状を把握できる。これも自動運転には欠かせないセンサーのひとつとされている。同様な情報はカメラ画像を処理することでも得られるが、現実の状態を把握するためにLiDARも重要視されている。現状、多くの無人カーはLiDARを搭載している。

    レベル4では、一般公道ではなく専用レーンや制限区域内での走行を前提とできるので、精度の高いGPS情報があれば、無人走行はそれほど難しくない。この場合、地図情報や位置情報だけではわからない、その場にいる歩行者や他の車両の情報はLiDARで把握する。

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    ●i-Conの技術を活用したレベル4自動運転

    じつは、高精度のGPSとマップデータとLiDARなどのセンサーを利用した自律走行は、重機の世界では「i-Construction(i-Con)」として実用化されている。あらかじめ計測またはスキャンしておいた現場の3Dデータと、施工後の3Dデータを使って図面(CAD)どおりの穴を掘ったり崖を削ったり、整地したりする技術だ。

    自動運転クオンに搭載された大型のGPSアンテナは、RTK GPSというi-Constructionに利用されている測位システム用のアンテナだ。RTK(リアルタイムキネマティック) GPSは、衛星電波の他、ローバーという地上の基準点となるアンテナの位置情報を利用して、センチメートル単位の位置情報を把握できる。

    i-Constructionでは、このシステムをブルドーザーやショベルカーに搭載し、無人または最小限のオペレーター操作で、図面どおりの施工を可能にしている。

    UDトラックスの親会社であるボルボトラックスは、同様な技術でスウェーデンの鉱山とブラジルのサトウキビ畑に自動運転トラックを走らせている。鉱山では、採石場から運河の運搬船までのルートを走らせている。サトウキビ畑は収穫したサトウキビを運ぶトラックだが、作物や圃場を荒らさないように最適なルートでの運搬を自動化している。

    UDトラックスでは、港湾施設、トラックターミナルなどでの実用化を目指している。2019年中には、レベル4自動運転の実証実験をスタートさせ、2020年には実際のサービスに展開していく予定だ。

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  • プロフィール

    中尾 真二

    IT系技術書の企画・編集を経て2003年にフリーランスとして独立。

    自動車関係では、パワートレーン、サスペンション、タイヤ、用品・部品関連技術の記事を中心に、主にウェブ媒体向けの取材・執筆活動を行っている。

    専門は、ADAS、自動運転、AI、クラウドサービス、セキュリティなど、IT関連のバックグラウンドを生かした記事。

     
     
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