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  • 2018年9月の最新投稿

    運送業 今昔物語

    2018年9月28日

     
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    むかしむかし。
    今からほんの30年ほど前のお話。
    とあるトラックドライバーがいました。

    彼は高いお給料と好きな運転を仕事に出来て日々楽しみながら日本全国津々浦々をトラックと一緒に走っていました。
    そんなある日、配車係から電話があって「○○荷主のところでパレット荷があるから積んできて」と言われたそうな。


    彼は慣れた道を走り荷物を積みに行きました。
    すると、そこにあったのは

    大量のバラケース。

    荷主さん曰く「今日はこの荷物をバラで積んで行ってくれ」とのこと。
    聞いていた荷物内容と違う!と彼は荷主さんに伝えました。
    そして、こうも言いました。


    「俺はパレットと聞いている。バラなら帰る!」と。
    そして、本当に荷物を積まず帰ってしまいました。

    荷主さんはドライバーに言われるがまま、トラックを返し、また新たにトラックを手配することになりました。


    それから10年ほど月日が経ちました。


    彼はまだトラックに乗っています。
    だけど、ちょっと元気がありません。
    年齢を重ねたのもあるかもしれませんがそれだけが原因ではないようです。


    だけど今日もお仕事はたくさん。
    配車係から連絡が来ました。
    「○○荷主のとこからパレット荷積んできて」と。
    この荷主さんは彼がよく知る荷主です。
    そう、10年前に「言われた荷物と違う!」と言い、帰ってしまったあの荷主さんです。


    彼は10年前と同じように慣れた道を走り、荷物を積みに行きました。
    すると、そこにあったのは

    大量のバラケース。

    荷主さん曰く「今日はこの荷物を仕分けして、サイズ別に積んでくれ」とのこと。
    彼は黙って黙々と仕分けをし、サイズ別に積み、自分でリフトに乗り、積み込みをしました。
    10年前のように「パレットじゃないなら帰る!」とは言いません。
    ただ、黙々と荷主さんの言われた通りに積み込みをしました。


    この話は本当にあった話です。
    私は「彼」が現役で走っていた時代、まだ小学生になる前です。その頃の運送業は高給取りでドライバー主導で現場では物言える職種でした。


    それから10年ほど経つと今度は立場が逆転します。
    この間に物流2法という規制緩和を全面的に認める法律ができ、大量の運送会社が流れ込んできました。
    そして、買い手である荷主業が売り手である運送業へだんだんと発言力を強めていったのです。

    個人事業主、零細企業が乱立し、水屋が現れ、運賃を下げまくり「サービス」という大義名分の下、ドライバーへの付帯作業をタダで引き受けてもこと足りず、どんどん運賃を下げていきました。


    物流2法という法律は様々な副作用をもたらしました。
    過当競争の末、悪質な運送会社が流れ込み、水屋が我が物顔で業界を仕切り始めました。


    運送業は運賃を下げて当たり前、という構図が出来上がっていったのです。

    規制緩和を進めた結果、トラックは増えました。インターネットの発展で荷物も増えました。そして、我先にと荷物を獲得するために運賃を下げながらも付帯作業までも無料という虎の巻を出していきました。


    すごい!
    これを続ければトラックも荷物も増えてめちゃくちゃ景気よくなるやん!
    って1ミリでも思った国の偉い人は多分結構いると思うんです。

    なぜなら、そのころの政界はバブルの後遺症に悩まされていたから。
    「民でできることは民に任せる」スタンスだったから、とりあえず物流はこれで良しってしちゃってる感がすごいあります。笑

    ですが、この施策は結果だけを見ると失敗だと思います。
    2018年現在、トラックドライバーの数は減少の一途を辿っています。
    それに輪をかけて広がる高齢化。


    若い世代の運送業への参入が足りていない。AI活用などアイデアは出ていますが実用化への道のりまでに業界が衰退しては意味がない。


    物流2法がもたらした影響はバブル景気からの日本運送業へ大きな課題を残しました。
    けど、もう終わったこととやかく言うてもしゃーないので(笑)、これからどうしたらいいか考えましょうよ、ってのが今日の内容です。←前置き長


    私は昔みたいに運送業優位の業界にしたい、とは思っていません。
    優位とか下とか決めるからしんどいんです。運送業も荷主業もお互い同じ立ち位置に付けるような環境にしたいわけです。


    例えば、規制。
    強化されるのは運送業の方ばかり。
    荷主へはどんだけ重い処分でも勧告だけ。
    だけど運送業は下手したら逮捕案件にまでなる。こういう土台がまず違う。

    戦々恐々と仕事をする側と「過積載?しゃーないやん。ま、俺ら逮捕される訳ちゃうし」の楽観的な側では温度差凄い出ますねん。


    こちら側が「過積載で事故でもしたら...」と思って交渉しても「何とかしてーや」って言えちゃう環境をまず変えなきゃね、って思うわけです。


    そして、荷主業と運送業双方の協会提携強化。
    運送業側の協会さんは「荷主業界への周知もあまり強く言えないんです」なんてすごく弱腰です。
    可哀想かよ!って思うほど言いたいこと言えない。


    これじゃ個々の運送会社が荷主と交渉なんてできない。
    お上が弱腰の業界で下々が対個々で強く出れるなんて歴史を見ても無いんですよ。
    かの有名な織田信長も秀吉も家康も朝廷という名義上の国のトップと対等に話ができるように武道という選択肢を取り、尚且つ「関白」や「位官」という肩書きを持ったわけです。

    だから武将達は貴族へ建前では礼儀を整えましたが、いざの場面では貴族にも発言できた。(あーもう、完全に歴史オタク出ましてすいません)

    トップが交渉できない組織は崩れます。
    これは私の持論です。
    なので運送業界のトップが交渉力を持ち、舵取りを行う必要があると考えています。
    運送業のトップが出来ないならできる組織を作ればいい。

    柔軟に時代に見合う組織を作ればいいかと思います。


    今回は運送業は荷主業と対等の関係を!
    と言わせていただきました。
    ですが私はどっぷり運送業の人間です。
    荷主業からのご意見もぜひお待ちしています。考えが偏るのは良くないと思うので荷主業側でも運送業のように規制で苦しんでいる事があればお互いどこで折り合いが着くかを模索する必要があると思っています。


    運送業も荷主業も双方が楽しく仕事ができる環境を整え、お互いをビジネスパートナーとして認め合えるような業界にしていきたいです。


    ・・・・えーっと、、


    はい、、
    今回かなりテンション高めにお伝えしました。
    それだけ危機感があるからです。
    9月28日現在、トラックが本当に足りていません。台風や豪雨の影響はもちろんありますが、年々トラック台数が足りなくなっています。
    これは本当に何とかせなあかんねん、という危機感からビジネスパートナーとなる荷主業との相互理解を深め、温度差を縮める必要があると実感しています。


    運送業は本来経済の軸となる経済の根幹です。衰退させるのも発展させるのも自分たちです。なら私は発展させていきたいと思う。
    純粋にそれだけです。


    自分に出来ることから少しづつ、皆が動けば大きな一歩になると思ってます。
    これからどうなるか、は自分たちの動きで作り上げていけるはずです。
    自分たちで作り上げていく方が沢山周りにいてくれると信じて今日もお仕事頑張ってきます!

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