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「2024年問題で給料がいくら減ったら他の運送会社に行く?」3万円が最多
2024年4月1日
「2024年問題」の残業時間の抑制で給料が減ることを嫌がるドライバーは多い。新規採用が容易ではない昨今、既存戦力の流出は運送経営者として避けたいところだが、残念ながら同業他社へ転職するドライバーは増えているという。弊紙ではトラックドライバー情報サイト「ブルル」の協力を得て、「月給がいくら減ったら他の運送会社への転職を検討するか」とのアンケートを実施、「3万円」が最多という衝撃的な結果が出た。 310名のドライバーが回答し、3万円で転職」が35.2%、続いて「5万円」が31.6%と、5万円までの減額で転職を検討し始めるドライバーが7割弱を占めた。なお、「10万円」が17.7%、「いくら減っても転職する気はない」は15.5%だった。 「家族を養っていけそうもないので、転職を検討中」と答えたドライバーは、「長距離引退も真剣に考えている」と語る。「減ると分かれば、当然、今より給料が良い会社に行きたい」と語るドライバーは、「これから先、運送業界はさらに2極化するだろう。ドライバーが満足する給料を払えない会社は人手不足で倒産するだろうし、個人的には、そういう会社は潰れた方が経済のためには良いのではないか」と辛口だった。ほかにも、「異業種への転職を検討中」「今年中には海運業に行きたい」など、具体的に検討を進めているドライバーも複数いた。 転職しない派からは、「ここまで来たら転職することなく全うする」「今の会社が最後の職場と決めている」といった意見も寄せられたが、「簡単に転職できる年齢ではないので、大幅ダウンでも泣き寝入り」「今勤めている会社にしがみつくしかない。しばらくは様子見」と、ネガティブな声も一部で聞かれた。 「4月以降のことはまだ何も会社から言われていない」という声も多く、ある配車係は、「拘束時間が短縮される話は出ているようだが、会社からも組合からも詳しい話は何も下りてきていない」と明かす。 「2024年問題」は、派遣ドライバー市場へも影響を及ぼしている。ドライバー派遣大手ランスタッド(東京都新宿区)の雲戸隆使DR事業部長は、「ドライバー不足で困っている運送会社さんからの相談が増えている。昨年同月比で約10%、コロナ禍の2021年比では約13%増えている」と明かす。 採用面では、「トラックドライバー職の関東圏の時給がコロナ前の2019年比で約15%、額にすると200円ほど上がっている」と説明。「当社への登録者数もコロナ禍真っ只中の2021年比で15%程度は増加している」という。 この現象について同部長は、「正社員から派遣へシフトするドライバーが出てきているのでは」と分析する。 残業制限で歩合給を減らす場合の対応について、船井総研ロジの齊藤史織エグゼクティブコンサルタント(写真)は、「荷主交渉で、減少分を運賃アップして給与を維持する」「単純歩合ではなく、生産性の高い社員を評価する賃金制度にシフトする」「稼ぎたい社員に固執せず、適切な労働時間で適切な給与を求める人材の採用を進める」の3つの取り組みを提示する。 同氏は「若者の採用強化」に取り組むことも推奨。「20代に限ってみれば異業種と給与の差はあまりない。厚労省が発表した令和4年の賃金構造基本統計調査によると、10代~20代の給料で運輸・郵便業は平均以上」と指摘。「まずは給料の高さで優位に立てる若者向けに求人対策を強化すべき」とアドバイスする。2024年4月の投稿一覧
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プロフィール
トラドラ総研 主任研究員
エミ
女性の視点からトラックドライバーを研究している。
都立大学(現・首都大学東京)卒。個人的にトラック業界紙を購読するほどのドライバーマニア。好きな車種は16輪低床。 -
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